あらかじめ割り水してひと晩からふた晩寝かせた「前割り焼酎」が飲みたい。
それには、あの平べったい酒器が欲しいなと。
手に入れたのは、400年の伝統を持つ薩摩焼で、質実剛健な黒千代香と、美術陶器として高く評価される白千代香。こいつで前割り焼酎を楽しもう。

さて、お味は・・・・

薩摩焼は、鬼島津(島津義弘公)が朝鮮役に出陣し、帰還の際に持ち帰り製陶させたのが始まり。
薩摩藩の御用品で、庶民の使用を禁止された白薩摩(白もん)は、少し黄味をおびた地肌に、金らん美麗な上絵付されており、微細なひび(貫入)が現れた薄手の美術陶器として高く評価されている。

一方、庶民の使える黒薩摩(黒もん)は、重厚で素朴な存在感が特徴で、日用品として広く普及していった。確かに丈夫で惜しげなく使えそう。

焼酎はお湯割りにするよりも、好みの濃度に割ったものを温めたほうが、香りが引き立ち、ふくよかな味わいをたのしめるとのこと。人肌程度に温めるのが薩摩地方の伝統的な飲み方。

あらかじめ好みの濃度に割ることを「前割り」といい、焼酎を「前割り」すると、水と焼酎が分子レベルでよくなじみ、味わいがまろやかになるのだと。

分厚い黒もんとお上品な白もん。容量が多い普段使いの黒千代香が大活躍する予感。

日本の伝統工芸品として、今も多くの人に親しまれている薩摩焼。国内だけでなく海外でも多くの人気を集めており、海外ではSATSUMAと呼ばれている。
寒い夜は、こいつで前割り焼酎を楽しもう。
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